竹内秀樹

竹内秀樹・太陽光発電システム研究所とは

sample竹内秀樹・太陽光発電システム研究所とは、日本及び世界の太陽光発電システム市場の動向をリサーチする会社です。

太陽電池への需要の盛り上がりによって、足もとで既存メーカーの売上が拡大するとともに、新規参入メーカーが増加している。

結晶法は日本の太陽電池メーカーが製造ノウハウの蓄積、信頼性で大きく先行している。

狭い設置面積で、より大きな発電量を得たいというニーズが強い顧客には、日本製の太陽電池が魅力的に映るであろう。

コストパフォーマンスを重視するユーザーには、安価な労働力を武器にした中国メーカーなどの太陽電池が売上を伸ばしている。

現在、結晶法太陽電池の原材料のポリシリコンは深刻な品不足状態となっている。

竹内秀樹・太陽光発電システム研究所の調べによると、シリコンメーカー各社の設備投資によって、現在の原料不足は08年には解決の見込みで、石井表記、東京製綱などポリシリコン材料の加工メーカーは積極投資による恩恵を享受しよう。

日本政府は2030年までに、電力供給量の10パーセントを太陽電池で賄う「PV2030プラン」を掲げている。

世界各国では日本以上に、太陽電池に対する取組が盛り上がっている。

太陽光市場の最近の動向

竹内秀樹・太陽光発電システム研究所の調査によると、太陽電池先進国の日本でも、太陽電池の発電量は国内層発電量の0.1パーセント強に過ぎない。

しかし、今後予想される太陽電池の必要量の急増を考えると、中期的には再び大幅な品不足と大型投資をくりかえすことになるであろう。

また、太陽電池のコストの約半分をシリコンの材料費が占めており、課題である大幅なコストダウンには、シリコン使用量の大幅な低減か、安価かつ大量の供給体制の構築が必要である。

シリコンの安価かつ大量供給という観点からは、シリコンを安価かつ大量に供給できる可能性のある冶金法などによるポリシリコンの製造が注目されている。

成功すれば大幅なコストダウンが可能だが、開発は計画よりも遅れ気味である。

シリコンの使用量を低減するという観点から注目されているのが、薄いシリコン膜をガラス基板に蒸着させる薄膜法である。

結晶法を採用してきた太陽電池メーカーでも、薄膜法の製造装置を導入して、シリコンウェーバ不足に対応する動きが出てきた。

装置産業にも大きな変化(竹内秀樹)

太陽電池製造装置産業には、大きな変化が生じている。

欧州では、ドイツを中心とした太陽電池メーカーの積極投資で、装置メーカーも大きく成長した。

ドイツがフィード・イン・タリフ制度を開始するまでの「太陽電池冬の時代」に、大手電機メーカーで太陽電池を研究していたエンジニアが、装置・材料メーカーを設立したり、移籍したため、多数の装置メーカーが存在し世界市場で先行した。

日本では、シャープ、京セラのように自社でシリコンの精錬から太陽電池の製造までをする垂直統合型が主流だった。

各社は量産初期のみ製造装置を外部から購入し、その後は内製に切り替えていた。

日本の太陽電池製造装置メーカーは、10年前にシャープなどに製造装置を納入して以来、事業を停止している企業が少なくない。

事業再開、設備提供するターンキー事業を始める企業も出てきた。

薄膜法ではアルバック、結晶法では、エス・イー・エス(SES)がターンキー事業を開始した。

エス・イー・エスは半導体洗浄装置の大手メーカーだったが、近年は大日本スクリーン製造、東京エレクトロンといった売上規模が一桁違う競合企業との消耗戦で疲弊している。

竹内秀樹・太陽光発電システム研究所の予測では、日本の半導体製造装置メーカーでは最も早く太陽電池に注目、同社の設備は遅れ気味ながらも08年秋頃から拡販の予定で、結果が良ければ大きく売上を伸ばし、既存事業を上回る規模に成長する可能性がある。(竹内秀樹)